【特別区経験者採用】職務経験論文の落とし穴5選!

今回は【特別区経験者採用】職務経験論文の落とし穴5選というテーマでお届けしたいと思います。

前回の動画では、課題式論文について絶対に避けるべきミス5選というお話をさせていただきました。まだそちらを確認していない方は、ぜひ併せてご覧いただきたいんですけれども。

今回は注意点ということで、今度は職務経験論文のお話をしていきたいと思います。

皆さん方ご存知の通り、特別区経験者採用は、1次試験の合否が論文だけで決まってまいります。すなわち、前回ご案内した課題式論文と、今回ご案内する職務経験論文の合算で1次の合否が決まってくると。どちらも大事ということは言えるわけですけれども。

ただ、私がこれまで指導してきた範囲で申し上げますと、課題式論文以上に職務経験論文は受験生間の出来不出来の差が非常に大きいなと思っています。その意味では、職務経験論文で一定程度の評価を獲得するというのは非常に重要になってまいります。

ですので、今回ご案内する注意点5つを注意しながら、当日しっかりと論文を書き上げていただきたいと思います。

なお、下記のYouTube動画でも解説を行っているので、併せてご視聴ください。

①職務経験が簡潔に書かれていない

1つ目が、職務経験が簡潔に書かれていないというものです。

これまで数年間の、特別区経験者採用の過去問を見ると分かると思うんですけれども。すべての職務経験論文について「あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから」と記述がありますよね。

すなわち「序論・本論・結論」の序論にあたる部分では、皆さん方はいの一番に、自分の職務経験を簡潔に書かなくてはいけないわけです。「自分は〇〇業界で△△会社にいて□□の仕事をしています」と、そういうことを書かなくてはいけないわけですよね。

この部分が、複雑・内容がまとまっていないと感じる方が非常に多いです。

典型的なミスとしては、これまでの職務経験・職歴といった内容についてすべてを書こうとする方。このミスが一番多いなと感じます。

皆さん方の中には、転職歴がある方も少なからずいらっしゃると思うんですね。人によっては転職回数が2回・3回・4回とか、ある程度の回数がある方も少なくないと思います。

その場合に、すべての職務経験とか職歴について書こうとすると、当然ですけれども情報量がすごく増えるということになりますよね。情報量が増えれば増えるほど、内容は基本的には複雑になってしまいます。読み手である採点者からしたときに、どういうことなのかが全く分からなくなる。

ですので、注意していただきたいのは、必ずしも自分の職務経験とか職歴を全て書かなくてはいけないということではありません。もちろんケースバイケースではありますけれども。

自分の職歴がそれなりに多いとか、転職回数が結構あるという場合には、全部を書かなきゃいけないというわけではないと。ぜひその点については知っておいていただきたいですし、自分の職務経験の中でも核になる部分を抜き出した上で、その部分を簡潔にまとめていく。

とにかく「簡潔になってるか」というのは今一度意識していただきたいと思います。

②定義が定義になっていない

2つ目が、定義が定義になっていないというものであります。これについては、過去問を例にご案内した方が早いと思いますので、2022年の過去問を例にご案内します。

昨年の過去問においては「職場の活性化」というテーマで出題がありました。この「職場の活性化」について、本論で具体的にどんなことを書くのかというのは様々なバリエーションがあり得るとは思います。

でも、よくよく考えてみるとこの「職場の活性化」という言葉って解釈が様々にあり得るような気がしませんか?

職場の活性化って何?ということを考えてみたときに、例えば1つの解釈としては「職場内できちんとコミュニケーションが取れている」ということかもしれないですよね。

あるいはそれと関連しますけれども、「職場内で働いている人たちの仲がいい」ということが言えるかもしれません。

あるいは、そういった仲の良さとかコミュニケーションとかではなくて「単純に職場全体として生産性が高い」ということをニュアンスしているかもしれないですよね。

でも、いずれにしても職場の活性化って何?と言ったときに、色々な解釈が確かにあり得そうだなということはお分かりいただけると思います。

そうなってくると、ここで重要になるのは、まず本論を書くにあたって「職場の活性化」というのを自分なりに定義することが必要になってきますよね。

「自分にとって職場の活性化とはこういうことである」とか「職場の活性化というのはこういう状態を指すんだ」とかそういった定義付けが必要になりそうですよね。

一応注意しておくと、すべてのテーマについて全部定義を書かなきゃいけないとかそういうことではないんですよ。

ですけれども、定義とか解釈が複数あり得るかもしれない多義的なものに関しては、自分なりに定義を与えておくのは悪くはない方略ですよね。

話を巻き戻しますと。そのときに、自分なりに定義を書くという話になるわけですけれども。そこで多いのが、「私の考える職場の活性化とは〇〇である」という内容が、全然定義になっていないじゃんという方が結構いらっしゃるんですよ。

例えば、「私の考える職場の活性化とは〇〇である」と言った次の文章で「職場における活性化は職場全体の生産性を高める上で非常に重要である」みたいな文章がきていることが結構あるんですよ。

これ、聞いてくださってる皆さん、「おかしいな」って感じますよね?

どうしてかというと、今申し上げた話って「職場の活性化がなぜ重要なのか」とか「どういう意義があるのか」という話であって、「職場の活性化」を定義づけてるわけではないですよね。

つまり、「”職場の活性化”の定義は〇〇だ」と言っておきながら定義が書かれてないというのが意外と多いんですよね。

そうなると、明らかに採点者としては違和感を持ちますよね。「これ定義じゃないよね?」って思われた瞬間に減点となってしまっても文句は言えないわけです。

ということでもありますので、例えば定義をもし書くという場合には、重要性とか意義とかそういった話ではなくて、きちんと「定義は何なのか」を文章として書いていただきたいと思います。

③意義が述べられていない

3つ目が、意義が述べられていないというものであります。

これについても、具体的な例として2021年の過去問を例にご案内したいと思います。2021年の職務経験論文では「仕事における目標設定と振り返りについて」というテーマが出題されました。

このテーマを考えたときに、多くの受験生は「目標設定と振り返りが持つ意義とか重要性について書こうかな」そういう風に考えるんじゃないかと思います。

一応注意しておくと、例えばこの「仕事における目標設定と振り返り」においては、意義や重要性を書くというのはアリだと思いますけれども、必ずしもすべてのテーマについて意義や重要性を書かなくてはいけないというわけではございません。

これについても、テーマとか皆さん方一人ひとりの論文のスタイルによっては「書かない」という意思決定も大いにアリだとは思います。

ただ、少なくともこのテーマについては、意義や重要性を書こうと考えた方が多いんじゃないかと思うんですね。そうなると、「”仕事における目標設定と振り返り”の意義や重要性」を書くということになるわけですけれども。

そのときにすごく多いミスが、「意義や重要性について以下に述べる」という風に書いているのにその後で意義や重要性を書いていないという方が結構いらっしゃるんですよね。これ、さっきの定義云々の話とすごく似ていますよね。

すなわち、さっきの話は「”定義を書く”と書いているのに定義が書かれてない」という話でした。同じことが意義とか重要性についても当てはまります。

すなわち、自分で「意義や重要性を書く」と言っておきながらそこに意義や重要性が書かれてないとか、全く別の内容が書かれているとか、そういったことがすごく多いんですよ。

ですから、もしも「意義や重要性について以下に述べる」と書いたのであれば、それ以降のところでは必ず「意義や重要性は何か」というのをしっかりと文章として書く必要があります。

当たり前じゃん!と思うかもしれないんですけれども。極度の緊張状態に陥っている本試験においては、こういったことがキレイさっぱり抜け落ちちゃうことが意外とあるんですよ。

ですけれども、皆さん方はそういうことのないように「意義や重要性を述べる」と書いたならしっかりその後で書いてくださいね。ぜひ注意していただきたいと思います。

④専門性が高すぎる

4つ目が、専門性が高すぎるというものです。これは、序論にも本論にも当てはまる話なんですけれども。

例えば皆さん方の中には、現在就いている仕事がいわゆる一般的な事務職ではなくて、比較的専門性の高い仕事をしているという方もいらっしゃると思います。

その方々にありがちなのが、業界の中では通じるけれど、一般の人からすると分からない専門用語とか、少し特殊な用語とかをポンと書いてしまうんですよね。

それの何がいけないの?って言ったときに、当たり前なんですけれども、採点者がそれについて分からないということになるとその内容が妥当なのかどうかを識別できなくなりますよね

我々が一般的に想起できるような業界・業種の話であれば、職務経験とかでその業界の用語を使われても、採点者側は「なるほどそういう話か」と解釈がスムーズにできるわけです。

でも、例えば書いている内容がすごく業界特殊的な内容とか、専門性が高すぎたりとか、専門用語がバンバン入ってるということになると、採点者側からすると「え、これどういうこと?」って解釈が全くできなくなっちゃうわけです。

そうなると、そこに書かれてる内容が妥当なのかそれとも妥当じゃないのかという判断ができないわけですから、得点を与えることが難しくなりますよね。

つまり、どこまでいっても、採点者がそれを読んだときに「なるほどね」と思えるような内容・エピソード・用語を使わなきゃいけないんですよね。

ですから、専門性の高い仕事をしてる方は、例えば自分が書くエピソードが、通常の人類を想定したときにこのエピソードで分かるかな?というのをもう1回だけ振り返ってみてほしい。

あるいは、使っている用語の専門性が高すぎないかな?とか、普通の人が読んだときにこの用語で通じるかな?というのを、もう1回だけでいいので振り返ってほしいと思います。

そのときに、例えば自分の家族に聞いてみるというのでもいいと思います。もしも家族に「この内容とか用語って分かる?」と聞いて「あんまり分からない」という場合には、もしかしたら採点者側にとっても「ちょっと何言ってるのか分かんない」ということで、サンドウィッチマン状態になってしまう可能性が否定できません。

ですので、専門性の高い仕事に就いている方ほど、専門性の高すぎる内容になっていないか、専門用語バンバン入れ過ぎていないか、そのあたりについてはぜひ注意していただきたいと思います。

⑤経験しか述べられていない

5つ目が、経験しか述べられていないというものです。これは本論についての話になるんですけれども。

例えば、あるテーマが与えられたときに、自分の職務経験の中で合致する内容を引っ張ってきて「第一に」とか「第二に」のところとかで、自分の職務経験とかについて書いていくじゃないですか。

そのときにすごく多いミスが、そこで書かれている内容が本当に自分の職務経験だけというパターンなんですよね。

それの何が悪いの?って思うじゃないですか。だって職務経験論文なんだから自分の職務経験を書くのは当たり前でしょ?って思うかもしれないですよね。

しかし、よくよくお考えいただきたいのが、皆さん方がこの職務経験論文で採点者に対して示すべきことは何なのか。

もちろん様々なものが挙げられようかと思います。例えば「自分はしっかりした文章力を持っていることを示すこと」かもしれない。あるいは、「自分は論理的に物事を考えられると論理的思考力を示すこと」かもしれない。確かにそれらはどちらも重要だと思います。

しかし、皆さん方が経験者採用枠を受けているということを踏まえると、職務経験論文においてはもう1つ示すべきものがあります。

それは何かというと、自分は即戦力として特別区で活躍できるということを示す必要があるわけです。それを踏まえて考えると、単に経験を述べるだけというのでは少し物足りない。

では、職務経験に+αしてどんなことを書けばいいのかというと、これはいたってシンプルでございまして。

①自分が職務経験の中でどんな成果を出してきたのか
②どのような形で成長してきたのか
③どんな学びを得たのか
④特別区においてその経験をどんな形で活かせるのか

人によっては、ちょっとそれはしんどいな…と思うかもしれません。しかし、職務経験論文は皆さん方自身の職務経験を単に伝えるというものではございませんで。皆さん方自身が、特別区の職員にふさわしいことを示していく場でもあるわけです。

それを踏まえると、先に申し上げたような、自分がどんな成果をあげてきたのか・どんな成長をしてきたのか・どんな学びがあったのか・そして特別区でどう活躍できるのか、そういった話を盛り込むことは非常に価値がありそうな感じがしますよね。

ということでもありますので、本論での内容が職務経験を記述して終わりという形にはならないように意識していただきたいと思います。

ということで、皆さん方には特別区経験者採用試験における職務経験論文の落とし穴5つについてご紹介しました。

これらの内容を注意するだけでも、職務経験論文の評価が間違いなく上昇すると思いますので、ぜひ本試験までに何度も確認した上で、この点を注意していただきたいと思います。

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