【特別区経験者採用】難易度が上がっている?|再チャレを悩んでます…

【相談内容】

この度特別区経験者採用一級職を受験しました。

しかし、一次試験で残念な結果に終わりました。

昨年も受験し、今回は2度目なのですが、昨年は一次は合格し、二次で不合格となりました。一次は昨年より精度を上げての不合格だったので、自信を失っております。

これは試験全体の難易度が上がったのでしょうか?また、来年も3回目の受験をすべきか非常に悩んでおります。

【はじめに】

1点目の「試験全体の難易度(受験生全体のレベル)は上がっているのか」というご質問については、確たるエビデンスがあるわけではありませんが、私の肌感覚として、受験生全体のレベルは上昇していると感じています。なぜそう言えるのか。以下、私見を述べます。

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【特別区経験者採用】難易度が上がっている?|再チャレを悩んでます…

難易度の上昇

理由の一つは、予備校の利用が一般化したことではないでしょうか。では、なぜ予備校の利用が一般化したのか。

このご相談をいただいた当時の仮説としては、コロナショックによる景気停滞の影響が大きいと見ていました。コロナ禍の年、日本の経済成長率はマイナスに落ち込み、雇用の状態を示す完全失業率も、コロナ前の2%台前半から一時的に3%を超える水準まで悪化しました。社会人としては「自分の会社は大丈夫か」「この先どうなるのか」と考えざるを得ない状況。それまでなら勢いで受験していたような人たちも、予備校を利用して本気で対策するようになった、というのが私の仮説です。

実際、私はGravity代表の奥田先生と一緒に特別区経験者採用の1次試験会場へ受験生の応援に行っていますが、そこで声をかけてくださった方に「予備校は使っていますか」と尋ねると、ほとんどの方が「使っている」と答えます。声をかけてくださる方がたまたまそうだった可能性はありますので、受験生全体がそうだと断定はできません。それでも、こうした体験と当時の経済情勢を踏まえると、予備校を使う人が比較的一般的になってきたという肌感覚はあります。

予備校を使う人が増えれば、トレーニングを積んでくる受験生が増える。当然、受験生全体のレベルは上がります。その結果、以前なら論文を通過していたような方でも1次試験を突破できない、という事態は今後増えていくでしょう。

参考までに、直近の実施状況も見ておきましょう。令和7年度の一般事務では、1級職が受験者1,177人に対して最終合格338人(倍率3.5倍)、2級職が受験者787人に対して最終合格160人(倍率4.9倍)となっています。倍率の数字だけを見れば極端に高いわけではありませんが、受験生の多くが予備校等で対策を積んでくる以上、同じ倍率でも求められる水準は上がっていると考えるべきでしょう。

出典:特別区人事委員会 令和7年度 採用試験・選考実施状況

なお、ここまでの話は確たるエビデンスに基づくものではなく、あくまで私なりの仮説です。一つの参考として、多少割り引いて受け取ってください。

弱点補強時の注意点

2点目に移ります。「予備校の利用が一般化し、受験生全体のレベルが上がった」と聞けば、ご相談者も、この記事を読んでいる方も、「それなら来年は論文なら論文、面接なら面接を徹底的に対策しよう」と考えるでしょう。その方向性自体は妥当です。

ただし、注意してほしいのは、論文か面接か、片方だけの対策に偏らないこと。

ご相談者は今年、論文試験で不合格になりました。となれば、「来年は論文を徹底的にトレーニングして挑む」と考えるのが自然でしょう。使えるリソースのほぼ100%を論文対策に注ぎ込むイメージです。

しかし、そうなると面接対策が手薄になります。面接対策は、職務経歴書の作成段階からすでに始まっているもの。リソースを論文だけに注ぎ込めば、職務経歴書の内容も中途半端になりかねません。論文対策を頑張って1次試験を通過し、いざ面接となったときに、中途半端な職務経歴書で挑まなければならず、面接対策もそこからのスタート。結果として面接で落ちてしまう。これは本当によくある現象です。

論文で落ちたから次の年は論文を頑張る。論文は通過したが面接対策がほとんどできておらず、面接で落ちてまたゼロからやり直し。こういうことが実際に起きています。

面接で落ちた方にも、全く同じことが当てはまります。来年は職務経歴書の作成から面接対策まで早めに取りかかろう、とリソースのほとんどを面接対策に注ぎ込むと、今度は論文対策が手薄になり、前年は通過した論文で落ちてしまう。

論文で落ちた方は、論文だけでなく、職務経歴書の作成を含めた面接対策も並行してきっちり進めてください。面接で落ちた方は、面接対策に注力したい気持ちは分かりますが、1次を通過しなければ何にもなりませんので、論文対策も手抜かりなく。どちらか一方に偏った弱点補強は危険だということを、ぜひ心に留めておいてください。

再チャレンジすべきか

3点目は、再チャレンジすべきかどうか。

残念ながら、この点について「すべき」「すべきでない」をこちらからご案内することはできません。再チャレンジすべきかどうかは、ご相談者が置かれている状況、経済的な環境、その他さまざまな要素を考慮しなければ判断できないものだからです。原理的に、一義的な答えを示すことはできません。

ただ、ご相談者のお気持ちを考えると、再チャレンジしてみたいという気持ちがあるからこそ、私のところに質問を送ってくださったのではないでしょうか。「もう受けない」と決めている方が「すべきか迷っている」と尋ねてくることは、まずありません。この質問を送ってくださった時点で、再チャレンジしたい気持ちがわずかでもあるはずです。であれば、その気持ちに素直に挑んでみるのも一つの考え方でしょう。

ただし、勢いで「もう1回再チャレンジ」と決めるのはよくありません。

今年残念な結果に終わったのであれば、「なぜ今年は残念な結果に終わったのか」という原因の分析・特定がまず必要です。原因を分析せずに勢いで挑み、原因が解消されないままでは、来年も再来年も不合格になりかねない。明らかにもったいないことです。

原因はさまざま考えられます。仕事が忙しく残業が多くて勉強時間を確保できなかった、という職場環境。お子さんが生まれたばかりで育児に手がかかり、勉強時間を捻出できなかった、という家庭の事情。仮にこうした点が原因だったとすると、それを取り除くアプローチを取らない限り、再チャレンジはやはり大変でしょう。

もちろん、職場環境や家庭環境は簡単には動かせません。急に仕事が降ってきたり、子どもが体調を崩したりすることは往々にしてあります。それでも、少しでも早く帰れるよう何らかの働きかけができないか、子育てをご家族や他の人に代わってもらえないか、家庭の外のサービスを使えないか。落ちた原因を少しでも取り除くアプローチをセットで打たなければ、来年も同じ結果になりかねません。そのうえで意思決定を下してください。

いずれにしても、もう1年頑張るとなれば、その負荷はものすごく大きなものになります。特に今年自分なりに追い込んだ方にとっては、「あれをもう1回やるのか」という絶望感も大きいでしょう。だからこそ、再チャレンジは勢いやノリで決めるべきではないと強く思っています。ご自身はもちろん、ご家族や身近な人としっかり話し合ったうえで、じっくり検討すべき議題です。

ですから私個人は、今年残念な結果に終わった方に対して「すぐに再チャレンジしましょう」「来年もう1回頑張りましょう」と積極的に受験を推奨することはできません。自分を追い込んで努力を重ねたにもかかわらず、あと1点、あと数点で残念な結果に終わった方を実際に見てきたからです。その人たちが投下してきた努力を考えると、安易に「もう1年」とは言えない。

再チャレンジしてみたいという気持ちは、よく分かります。しかし、ここからの1年、2年は決して小さなコスト、小さな犠牲ではありません。ご自身を含め、ご家族ともしっかり議論を重ねたうえで、冷静に意思決定を下してください。

なお、特別区経験者採用の再受験については、下記の記事で詳しく解説しています。

【特別区経験者採用】不合格からの再受験
特別区Ⅰ類の面接で不合格になった方が、経験者採用で再受験する際のポイントを解説。面接が成功していたケースと実は失敗していたケースの見極め方、リベンジの進め方を紹介します。

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この記事の筆者
筒井夢人

公務員試験社会人採用研究所を運営している筒井夢人と申します。Gravity副代表兼専属講師として、社会人採用の指導を専門的に行っております。なお、自身も社会人採用枠を受験しており、特別区・横浜市・仙台市・国家公務員(係長級)などに最終合格しています。

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