【相談内容】
こんにちは。
50歳代の主婦です。
30歳代で神奈川県庁(1種一般行政職)を退職し50歳まで専業主婦をしていました。
神奈川県庁職員である主人が難病となり、現在は社会福祉士として社協で働いています。
今年神奈川県の中途採用試験を一般行政職で受験してみようと考えていますが、論文で出題されるであろう「今迄の職務の中で専門性を発揮し評価された」経験がありません。
公務員の前は客室乗務員でしたが、いずれも当たり前のことを当たり前にこなしてきただけです。
このような状況の中でどのように職務経験論文を書いたらいいのかご教示いただけたら幸いです。
よろしくお願い致します。
筒井からの回答
ご主人がご病気の中での受験、さぞや大変なことかと存じます。
ご回復を心からお祈り申し上げます。
さて、そのうえで質問にお答えしていきたいと思います。
まずは確認なのですが、神奈川県庁の中途採用試験、とは「キャリアフリー採用」を意図してらっしゃるという理解でよろしいでしょうか?
「いや、よろしいでしょうかって聞かれても…読みながらじゃ答えようがないし…」みたいな感じだと思うんですけど。
ご存知のことかと思いますが、神奈川県庁は中途採用(キャリアフリー採用)以外にも、一般事務職(社会人経験者)採用試験を実施しておりまして。
どちらのことを指してらっしゃるのか厳密には判断できなかったのですが、中途採用という文言があったので、今回は中途採用(キャリアフリー採用)を念頭に回答申し上げます。
まず、神奈川県庁の中途採用試験、第1次試験は経験小論文(2題必須解答)のみとなっています。
つまり、教養試験の勉強をする必要がない。
しかも経験小論文も事前提出というスタイルですから、筆記対策の負荷は経験者採用試験の中でもダントツで小さいと言えるでしょう。
で、経験小論文のテーマは8月上旬にならないと公表されませんので、ここは待ちの一手ですね。
ただし、質問者さんが想定するように、職務経験云々を問われるのは間違いないでしょう。
で、その職務経験云々についてなんですけれども。
今回質問者さんは「今迄の職務の中で専門性を発揮し評価された経験がない」という文章を送ってくださったわけですが…
いやいや。
どう考えてもそんなことはないでしょう。
というのもですよ、質問者さんの職務経歴を列挙すると、
・神奈川県庁職員
・社会福祉士
ということですよね?
これ、希少性の塊じゃないですか。
少なくとも、私が指導してきた「平均的な経験者採用受験生」の経歴と比べたときには、明らかに希少です。
つまり、良い意味で特殊な仕事をしてきてらっしゃる。
ですから、書くネタがなくて困るということにはならないと思うんですよ。
なぜかと申しますと、そもそも特殊な仕事をしてこられたんですから(もちろん良い意味で、ですよ)。
じゃあ、どうして質問者さんが「ネタがない…」と感じるのかというと、「いずれも当たり前のことを当たり前にこなしてきただけ」という認識。
ここが根源的な理由なんだと思います。
つまり「自分としては日々の業務を淡々とこなしてきただけなので、特段凄いってこともないな…」と感じてらっしゃるわけですよね?
これは経験小論文・職務経験論文のトレーニングを始めた方が、最初に陥りやすい感覚であります。
しかし、あえて申し上げるとですよ。
その感覚は大抵の場合狂っています。
というのも、働いている人は、日々行っている業務の「基準値」のようなものが「通常の人類」に比べて高くなりすぎている傾向があるからです。
ここでは、私を例に説明しましょう。
私は予備校講師として日々教壇に立っているわけですが、業務の中心は講義であります。
その講義、1回あたりの時間は3時間でありまして、その間はずっとしゃべりっぱなし。
で、日によっては1日3回の講義を行いますので、要は9時間しゃべりっぱなしなわけですね。
これ、恐らくですけれども、通常の人類からすると相当しゃべってるほうだと思うんですよ。
ただし、です。
これはもう全くイキっているわけではないんですけれども、我々予備校講師からすると、これが「普通」なわけでありまして。
つまり、毎日しゃべり倒しているので「今日は結構しゃべったなぁ」という部分の基準値が、通常の人類よりも高めになってしまってるんです。
で、これと似たようなことが、他の仕事にも当てはまると思うんですよ。
要は、働いている当人からすると「当たり前」になってしまっていることでも、通常の人類にとっては「ヤバッ」と思えるようなことが多々あるわけです。
ただ、そのあたりの判断は、なかなか自分一人でやっていくのは難しいものがあったりします。
だからこそ、論文や面接についてはプロの講師の力を借りて「引きの目線」を手に入れることが重要になるわけで。
とはいえ、ファーストステップとしては、まずご自身が経験なさってきた業務を「これは通常の人類からすれば当たり前じゃないかもしれないぞ…」という、ある種の「疑い」の眼差しで振り返ってみるのがよいでしょう。
あるいは、ご家族などの近しい人にそういった業務の話をしてみて「えっ、凄い!」という反応がかえってきたなら、それはもう十分に凄いエピソードなのだと考えられます。
ということで、まずはそのあたりから対策を進めてみては如何でしょうか?
ということで、少し長くなっちゃったんですけど。
ぜひ今回の話を参考に、神奈川県庁の対策を進めてみてください。
質問者さんの合格をお祈り申し上げます。
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