【相談内容】
この度特別区経験者採用一級職を受験しました。
しかし、一次試験で残念な結果に終わりました。
昨年も受験し、今回は2度目なのですが、昨年は一次は合格し、二次で不合格となりました。一次は昨年より精度を上げての不合格だったので、自信を失っております。
これは試験全体の難易度が上がったのでしょうか?また、来年も3回目の受験をすべきか非常に悩んでおります。
【はじめに】
1点目の「受験生全体のレベルが上昇したのでしょうか?」というご質問については、ノーエビデンスではあるんですけれども、私の肌感覚としては、受験生全体のレベルは上昇している感じはありますね。
じゃあ何でなの?という話になるわけですけれども。
その部分について、私見を申し述べたいと思います。
なお、下記のYouTube動画でも解説を行っているので、併せてご視聴ください。
難易度の上昇
理由の1つとしては、予備校の利用が一般化したからなのかなと、私自身は感じております。となると「なるほど、受験生全体のレベルが上がったのか」その理由としては「予備校の利用が一般化したからだと」。だとすると「そもそも予備校の利用が一般化したのは何で?」という話になるわけですけれども。
1つの仮説としては、やはりコロナショックによる景気停滞の影響が大きいのかなと感じております。例えばですけれども、コロナが起きた年、この年には我が国の経済成長率はマイナスの水準に陥りました。
そこから多少戻しましたけれども、それでもコロナ前の水準にしっかり戻っているのか?完全回復しているのか?と言われると、微妙なところがありますよね。実際にGDP、あるいはその成長率以外の観点を申し上げましても、雇用の水準。
雇用がどうなっているのかを占うときには”完全失業率”というのが1つの指標として見られますけれども、この指標もコロナ前はだいたい2.2%すなわち2%台の前半程度でした。しかし、コロナショックの後にはこの水準が一時的に3%を突破しました。
つまり、雇用の状態が非常に悪くなった訳ですね。そこから若干戻しまして、今の水準ですとおそらく2%台の後半くらいにはなっていると思いますけれども、やはりコロナ前と比べると雇用の情勢というのも明らかに悪いわけですね。
それを受けると、社会人としては「うちの会社大丈夫かな?」とか「この先どうなんだろう…」という風に考えざるを得ないですよね。となると、今までだったらノリで受験をしていたような人たちも、予備校を利用するようになると。
その結果として予備校利用が一般化したんじゃないかなと、私自身は仮説を持ってるんですよ。実際、例えば特別区経験者採用試験に関して申し上げると、私、Gravity代表の奥田先生と一緒に1次試験(筆記試験)の会場に皆さん方の応援に行っているんですけれども。
そこで「いつもYouTube見てます!」とか、ありがたいことにお声がけをくださる方も結構たくさんいらっしゃいまして。そのときに軽くお話をさせていただいてるんですけれども「ちなみに今、予備校とか使ってらっしゃいますか?」と私が聞くと、九分九厘「予備校を使っている」とアンサーしてくださるんですよね。
これは、あくまでも私に声をかけてくださった方々がたまたまそうだったのかもしれないので、受験生全体が予備校を100%利用しているのかというと断定的なことはなかなか言えません。ただ、やっぱりこういった自分自身の体験と、経済の停滞を見るに、少なくとも肌感覚としては予備校を使っている人が比較的一般的になってきたなと感じています。
こういう形で予備校を使う人が増えれば増えるほどどうなるのかというと、当たり前ですけれども受験生全体としてトレーニングを積んでくる人たちが多くなるということになりますよね?となると、当たり前の話として、やっぱり受験生全体のレベルが上がると。
なので、今までだったら論文を通過してたというような方であったとしても、残念ながら1次試験を突破することができない。論文で落ちてしまうという事態が、この先おそらく多くなるのかなと個人的には感じております。
ただ、この辺りはノーエビデンスではありますし、私なりの仮説というところでもありますので、あくまで1つの参考として、ちょっと話を割り引いて聞いていただければなと思っております。
弱点補強時の注意点
2点目の話に移りたいと思うんですけれども。「なるほど、予備校の利用が一般化した結果として受験生全体のレベルが上がったのか」と。
これを受けて、質問者さんやこれを見てくださってる皆さん方としては「じゃあ、自分も徹底的に論文だったら論文、面接だったら面接を突破できるように来年はもうちょっと頑張って、そこを徹底的に対策をしていこう!」。そういう風にお考えになると思うんですよ。
その方向性自体はまことに妥当なものだと私も思います。思うんですけれども、ただ、このときに注意をしておいていただきたいのが、論文・面接、片方だけの対策に偏らないように注意していただきたい。
例えば、質問者さんに関して申し上げると、今年残念ながら論文試験で不合格という形になったわけですよね?となると、おそらく「来年リベンジかますときには、論文を徹底的にトレーニングして特化して勉強して挑んでやるぜ!」そういう風に考えると思うんですよ。
つまり、イメージとして自分自身の使えるリソースのほとんど100%を論文対策に注ぎ込む。こういうイメージを持ってると思うんですよ。
でも、そうなると面接対策の方が手薄になりますよね?面接対策といったときには、これは職務経歴書の作成段階から話は始まっている、対策は始まってるわけじゃないですか。
だとすると、リソースの100%を論文の方にだけ注ぎ込むということになってしまうと、やっぱり職務経歴書の内容もすごく中途半端なものになりかねないですよね。そうなると、論文対策を徹底的に頑張って、1次試験を通過した、論文試験を通過した、さぁ次は面接だ!といったときに、内容がすごく中途半端な職務経歴書で挑まなくてはならなくなる。
そして、面接対策もそこからのスタートという形になってくるので、どうしても面接対策が手薄になってしまって、今度は面接で落ちてしまうということになってしまうんですよね。これは本当によくある現象なんですよ。
つまり、論文で落ちたから次の年論文頑張る。で、論文は通過したんだけど、面接対策をほとんどしなくて面接で落ちて、またゼロからやり直し、というようなことが結構起きてるんですよね。
ここについては、面接で落ちちゃいました、という人にも全く同じことが当てはまります。すなわち面接で落ちてしまったから、来年挑むときには職務経歴書の作成から、あるいは面接対策も含めて早めにやっておこう、ほとんどすべてのリソースを面接対策に注ぎこもう。
こういう形で対策を進めていくと何が起きるのかというと、論文対策が手薄になってくるわけですよね。となると、面接対策はガチガチに固めたんだけれども、次の年は論文で落ちてしまう、という現象が発生するんですよ。
ということで、論文で落ちたからといって論文対策だけをやっていると面接で落ちることになる。逆に、面接で落ちたからといって面接対策だけをやっていると、今度は前年は通過した論文の方で落ちてしまう。
こういった現象が起きてしまうんですよね。ですので、何を注意していただきたいのかというと、論文で落ちましたという方だったとしても、論文だけじゃなくて職務経歴書の作成含めた面接対策も並行してきっちり頑張ってほしい。
そして、面接で落ちましたという人であったとしても、面接対策に注力するのはよく分かりますけれど、同時に1次通過しないと何にもならないわけですから、論文対策も手抜かりなくやってほしい。
どっちか一方に偏った補強とか、弱点の強化は良くないよというところ。ぜひ、この辺りは気を付けていただきたいと思っております。
再チャレンジすべきか
3点目に、再チャレンジすべきかどうかというところについて、私見を申し述べたいと思います。
ただ、ここの部分に関しては残念ながら私どもの方で、すべき・すべきじゃないというのをご案内することはできません。なぜかと申しますと、そもそも、すべきかどうかというのは質問者さんが置かれている状況、経済的な環境、あるいはそれ以外にも様々なものを考慮してみないと意思決定を下すことはやっぱりできないと思うんですよね。
ですので、私たちの方で「すべきだと思います」とか「やめといた方がいいでしょう」ということを、ここで一義的にご案内することはやっぱり原理的に言ってできない。
ですけれども、質問者さんのお気持ちを考えますと、おそらくトライしてみたいな、再チャレンジ挑んでみたいなという気持ちがあるから私のところに質問を送ってくださったんじゃないかなと思うんですよ。
つまり、もう受けるのやめようと現時点で確定している方に関しては「すべきかどうか迷ってます」ということを私に聞いてくださるということはまずないと思うんですよね。ですから、この質問を私に送ってくださっている時点で、おそらく質問者さんやこれを見てくださってる皆さん方は再チャレンジしてみたいなという気持ちが僅かながらあると思うんですよね。
であれば、その気持ちに素直に挑んでみるというのも1つの考えではあると私自身は思っています。ただ、注意していただきたいのが勢いでもう1回再チャレンジ!と決めるのはよくないということであります。
なぜかと申しますと、質問者さんやこれを見てくださってる皆さん方の多くはおそらく、今年残念な結果に終わってしまった方々だと思うんですよ。だとすると「じゃあ、何で今年残念な結果に
終わってしまったんだろうか?」という原因の分析・特定というのがまず必要になりますよね。
どうしてかと言いますと、原因の分析をせずにノリでもう1回挑む、ということになって、その原因が解消されないままだと、また来年も再来年も不合格ということになりかねないじゃないですか。それって明らかにもったいないことですよね?
ですから、まずは原因の分析というのを再チャレンジを決める前のタイミングで、事前の段階でやっておくべきだと思うんですよ。そのときには色々な原因があり得ると思うんですよね。
例えば職場環境。仕事が忙しすぎて、残業が多すぎて、ちょっと勉強時間が確保できなかった、だから残念な結果に終わってしまったのかもしれないという人もいるかもしれません。
あるいは家庭の都合ですよね。例えば、お子さんが生まれたばっかりで育児に手がかかるということで、なかなか勉強の時間を捻出できなかった、集中できなかった。こういった方々もいらっしゃると思うんですよ。
仮にの話として、この辺りが原因だったとすると、これらを取り除くというアプローチを取らない限りは原因が取り除かれないわけですから、なかなか再チャレンジしていくのは大変かもしれないですよね。
もちろん、職場環境とか家庭の環境って、そんなに簡単には動かせないものだとは思うんですよ。いきなり仕事が降ってきたりとか、子どもが具合悪くなったりとか、そういうこともやっぱり往々にしてあるとは思うんですよね。
なんですけれども、例えばその辺りの部分を何とかして変えられないか。すなわち、ちょっとでも早く帰れるように何かしらのアプローチが取れないかとか、子育ての部分をご家族や他の人に代替してもらえないかとか、家庭の外にある何かしらのサービスを使えないかとか。
こういった形で何かしら自分が落ちた原因を取り除くためのアプローチをセットで打たないと、もしかしたら来年も同じような結果になってしまうかもしれないので、その部分を除去していく。落ちてしまった原因をちょっとでも取り除く。
そういったことを踏まえたうえで、意思決定を下していただきたいと思っています。でも、いずれにしても、皆さん方がもう1年頑張りますということになると、おそらくその負荷はものすごく大きなものだと思うんですよ。
とくに、今年自分なりにすごく追い込みました、という方にとっては「あれをもう1回やるのか…」というところで、絶望感もすごく大きいと思うんですよね。ですので、少なくともこの再チャレンジというものは勢いやノリで決定すべきではないと私自身は強く思っています。
ご自身もそうでしょうけれども、ご家族、身近な人としっかり話し合いをしたうえで、じっくりと検討すべき議題だと私は思います。ですので、少なくとも私個人は、今年残念な結果に終わってしまった方に対して「よし!すぐに再チャレンジしていきましょう!」「来年もう1回頑張りましょう!」という風に積極的に受験を推奨していくということはできません。
なぜなら、自分自身をすごく追い込んでいたにも関わらず、あと1点、あと数点というところで残念な結果に終わってしまった方を実際に観測しているからです。そして、その人たちが投下してきた努力を考えたときに、安易に「もう1年頑張ろう」と言うことは私自身はできない。
もちろん、これを見てくださってる皆さん方の多くが、きっと再チャレンジしてみたいという気持ちを抱いているというのはよくわかります。ですけれども、ここからもう1年、2年というのは皆さん方にとって決して小さなコスト、小さな犠牲ではないと思います。
ですので、自分自身を含めて、ご家族ともしっかりと議論を重ねたうえで、冷静に意思決定を下していただきたいと思っております。
✅「最多合格のGravity」が届ける合格講座
「選ばれるには理由がある」
2024年は特別区経験者採用の最終合格者が「69名」となり、日本最多の合格実績をまたも更新。
日本で最も多くの合格者を輩出し続けるGravityには圧倒的なノウハウと実績があります。
本気で「1発合格」を狙う受験生にこそ、特別区合格講座の活用を推奨します。
※定員となり次第予告なく募集締切となります。